むやみな中絶批判は人を傷つける行為です

日本では人工妊娠中絶(以下中絶)に対して批判的な意見が多く見られますが、中絶というのは時には必要な、大切な行為です。中絶というと、10代の若者が軽い気持ちでセックスした結果、妊娠してしまい堕胎するというイメージを思い浮かべる人は今でも多いのではないでしょうか。しかし、実際に中絶を行った人の中には、身体的な問題、経済的な問題、暴行による妊娠などいろいろな事情を抱え、悩んだ末に中絶を選択した人が多くいるのです。中絶を選択するのならセックスをするなと簡単に言う人がいます。では、心臓の病を抱えていて出産は望ましくないという人は、恋愛をしても、結婚をしてもセックスをするなということですか?避妊すればいいと言いますが、避妊していても妊娠する可能性がゼロではないのです。欲しいけれど産めない、中絶を選択しなければならない場合はあるのです。確かに、中絶するということは小さな命を1つ消してしまう行為です。しかし、その事だけを取り上げて、命を粗末にした、消された命がかわいそうだと中絶を批判するのは間違っています。中絶した人を批判する前にまずその事情をきちんと知ってください。私は、むやみに中絶批判をする心無い人が減ってくれることを願っています。

日本における人工妊娠中絶

妊娠中絶には自然妊娠中絶と人工妊娠中絶の2つがあります。自然妊娠中絶とは、流産や死産のことで、妊娠週22週未満の場合を流産、22週以降の場合を死産と言います。人工妊娠中絶は、薬品や手術により人工的に妊娠を中絶させることで、一般的に中絶というと人工妊娠中絶のことを差している場合が多いようです。日本における人工妊娠中絶は母体保護法により定められており、身体的理由、経済的理由、レイプによる妊娠の場合に指定医師だけが施術を許された医療行為となります。人工妊娠中絶の際には、本人と配偶者の同意が必要ですが、配偶者がわからない場合や、意思表示ができない場合、死亡した場合には本人の同意だけで良いとされています。また、未成年の場合も同じく、親の同意は必要ありません。中絶できる期間は妊娠週22週未満ですが、12週以降は死産として扱われ死亡届が必要になるため11週までに行われることが多いです。妊娠週の数え方ですが、最後の生理の日を基準として第0週と数えます。そのため、次の生理予定日は4週目にあたり、生理が来ないと気になりだした時には既に5〜6週目、病院で検査した頃には8週目を過ぎていることもあるので、中絶を考えるには早急の決断が必要です。

人工妊娠中絶手術について

中絶の方法には、手術による方法と、薬品を使用して流産を起こす方法がありますが、日本での中絶の方法は手術による方法が主流となっています。中絶の手術は保険適応外なので、医療機関によってかかる費用に若干違いがありますが、妊娠初期で10万円前後、妊娠中期で20〜30万円くらいかかります。妊娠初期での中絶の場合、手術の方法は、子宮口を広げ胎児や胎盤を掻き出し、残ったものは吸引器で吸い出します。所要時間は15分くらいです。母体への負担も比較的少なく、入院の必要は無い場合がほとんどで、2〜3日の自宅安静と薬の服用で済みます。妊娠中期での中絶の場合、手術は出産に近い形で行われ、子宮口を広げ、陣痛誘発剤で陣痛を起こし人工的に流産させます。その後、体内に残った胎盤などの残留物を掻き出しや吸引で取り除きます。母体には出産と同等の負担がかかり、3〜5日の入院と1週間くらいの安静が必要です。また、妊娠中期での中絶は死産の扱いになるため、火葬と死産届けの提出が必要となります。中絶を選択するのであれば、初期段階での手術を受ける方が望ましいでしょう。まれに術後感染により不妊症になってしまうこともあるので、術後は医師の指示に従いきちんとしたケアが必要です。

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